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【レポート】延長までもつれた試合に敗れるも総合力で戦い抜いた(女子・山形)

「第32回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2019」は初日、男女各48チームによる予選リーグが行われた。
 3年ぶりの決勝トーナメント出場を目指した女子の山形は、大会のメインアリーナである武蔵野の森総合スポーツプラザに登場。初戦は新潟と対戦した。
しかし、試合は僅差を争う中、山形は3Qを終えて1点のビハインドを負ってしまう。それでも、4Qでは多彩な攻めから大量得点を奪い、見事逆転勝ち。苦しみながらも1勝を挙げると、続く東京Bとは、勝った方が決勝トーナメントに進むという大一番を迎えた。


「いつもは緊張して顔がこわばってしまうので」と、今大会では意識的に笑顔で臨んだという⑭高嶋来奈選手

決勝トーナメント進出を懸けた東京Bとの試合は、序盤から両者一歩も引かず、競った展開となる。そのまま後半に突入すると、4Qに入っても接戦の様相は変わらず。だが、終盤に僅かに抜け出したのは東京Bの方で、オフェンスで決め手を欠く山形をしり目に、そのまま東京Bが逃げ切るかと思われた。しかし、ここから粘りを見せた山形は、残り45秒で同点に追い付く。その後、東京Bに得点を許すものの、残り6秒には⑤齋藤亜虹選手がフリースロー2本をしっかりと沈めて再び同点とした。

結局、延長までもつれた試合は、山形のあと1本のシュートが決まらず。対する東京Bは、⑩田中愛聖選手がドライブからのシュートをねじ込んで勝負あり。山形は47‐49で競り負けてしまった。

「最後は相手の『(シュートを)決めるんだ』というゴールに向かう姿勢が一枚上手だったかなという感じがしました」と、山形の五十嵐克之コーチは試合を振り返った。


ポイントゲッターとして攻め気を前面に出した⑩五十嵐羽琉選手

 今年の山形は、突出した得点能力を持つ選手や180㎝台の選手はいないものの、170㎝台でオールラウンドに動ける選手が多い。そのため、「12名にそれぞれ持ち味や個性があるので、その特徴をうまくかみ合わせて、プレーのシェアというほどではないにしても、みんなにチャンスを与えながらと思ってチームを作ってきました」と、五十嵐コーチは言う。

 その言葉の通り、試合ではメンバー交代が頻繁に行われ、またコートに立った選手たちは持ち味を十分に発揮したのだが…。最後は「相手は高さがあるので、どうしてももつれたゲームになるとオフェンスリバウンドにしてもディフェンスリバウンドにしても厳しい。少しでもリードした形で(終盤を)迎えたかったんだけれど」(五十嵐コーチ)と、178㎝の⑮中元優来選手ら、東京Bの高さを生かしたリバウンドに後手を踏んでしまった。

 とはいえ、山形は、2試合の中で“らしさ”を出し切ったといえるだろう。昨年大会にも出場した⑭高嶋来奈選手は、「最後の(シュートを)決め切る場面では落としてしまったのですが、1対1で仲間の状況を見て攻めることができて良かったです」と、敗戦の中にも手応えを感じた様子。

オールラウンダー高嶋選手は、チームにはなくてはならないポイントゲッターだが、東京Bとの試合ではファウルトラブルになり、「大事な場面で点を取る私が(ファウルトラブルでコートに)いなくなってしまったことがとても申し訳なくて…」と、肩を落としてもいた。だが、手応えも後悔も、すべて含めて経験といえるだろう。
高嶋選手が所属する山形市立第六中学校は今年、全中出場はもちろんのこと、選手たちは全国ベスト8を目標にしているという。そこに加えて、高嶋選手は、「自分としては日本一を目指して努力していきたいです」と、頼もしい言葉を発する。
「この経験をそれぞれがチームに戻って生かしてくれれば」という五十嵐コーチの思いのとおり、全国という舞台で戦った2試合の経験は、山形チームの選手たちにとって非常に価値のある、かけがえのないものとなって今後に生かされていくだろう。


ガードとしてチームを引っ張った⑤齋藤亜虹選手

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